「あ……と、あの……人混みに疲れたみたい! 沢山歩いたしね! なんせ、オバサンだからさぁ、あはは……」 あたしが苦しまぎれに渇いた笑いでごまかそうとすると、 ───郁生くんは、小さなため息をついた。 「トーコさん……嘘、ヘタ……」 「───……」 「顔色、真っ青だったよ。 あの桜見てから、ずっと様子がおかしかった」 「……そんなこと…」 「あるよ。だって、手ぇ握って泣いてたじゃん。なんで……?」 「それは……」