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後ろからガシッと彼のリュックを掴んだまま、あたしは続けた。
「───なんで5分なの……」
「え?」
「なんで、5分なの」
「えっと………ごめん。もうちょっと待つ……」
背後から押し殺したような声で話すあたしに気圧されたのか、訂正しようとする彼に、
「そーじゃない」
「………?」
「5分……いらない」
「───トーコさん」
「………郁生くんと関わらない人生なんて、考えられない。
離れたくない。離れている方が辛い。
……あたしは、あなたがいない幸せより───例え先の見えない未来でも、あなたと一緒がいい。
だから……」
「トー……」
振り返った郁生くんの唇に───爪先立ちをしたあたしの唇が重なる。
微かに……宝物に触れるように、そっと。

