逢いたい~桜に還る想い~


    ★    ★


後ろからガシッと彼のリュックを掴んだまま、あたしは続けた。


「───なんで5分なの……」


「え?」


「なんで、5分なの」


「えっと………ごめん。もうちょっと待つ……」


背後から押し殺したような声で話すあたしに気圧されたのか、訂正しようとする彼に、


「そーじゃない」


「………?」


「5分……いらない」


「───トーコさん」


「………郁生くんと関わらない人生なんて、考えられない。

離れたくない。離れている方が辛い。

……あたしは、あなたがいない幸せより───例え先の見えない未来でも、あなたと一緒がいい。

だから……」


「トー……」


振り返った郁生くんの唇に───爪先立ちをしたあたしの唇が重なる。

微かに……宝物に触れるように、そっと。