★ ★ 小さな泉のほとりと、そこに咲く桜の老木を見た後から、 ───自分が上の空なのは、自分でよく分かっていた。 意識があそこから離れない。 目に焼き付いた景色が、いつまでも消えない。 でも、そこに感じるのは、“感動”とかではなく、 ───むしろ“苦しさ”で。 探していた 逢いたかった 苦しい ───忘れたい 矛盾とも言える正体不明なカケラが、グルグルと渦巻く。 ………気持ち悪い… ………目眩がする… なんとか自分の部屋にたどり着いた時には、もうクタクタだった。