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午後もあとわずかで、最後の休憩に入っていたら、バイト仲間の万優(マユ)ちゃんがあたしの隣に座った。
「ナベさん、お疲れ~」
木村万優ちゃんはあたしの1コ下で、経済学部に通う2年生。あたしのことを「ナベさん」と呼ぶ。
「今日で終わりだねー……てか、ナベさん」
「ん?」
「今日は……カレシと待ち合わせ?」
「───えっ、違う違う! なんで??」
「違うの? だって」
クスクス笑いながら、あたしの手を指差して、
「そわそわしながら、ずーっとケータイ触ってる。恋する乙女な顔でぇ」
「え゛っ……」
「カレシじゃなければ、好きな人かな? いいな~」
「……そんなじゃ、ないよ」
あたしは、つっこまれて気付き、慌ててケータイをテーブルの上に置いた。

