逢いたい~桜に還る想い~


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こんなに気持ちが沈んでいても、朝はやってくるし、

今日はバイトに行かなきゃいけない。



……シマザキコーポレーションの靴の出荷作業のバイトも、今日が最後。


バイト増員も今週末には終了で、倉庫が休みの日曜には社長さんが「皆で“お疲れ様”のバーベキューをしましょう」と言っていたっけ。


後期授業の準備と、土曜にサークル活動のあるあたしは、一足先に終わるようにシフトを組んでもらっていた。


大学に行く時に乗り換えるのと同じ駅で電車を降りると、いったん改札を出て、そこから15分ほどバスに乗る。


「はぁ………」


接客業じゃないから、ほんと助かる。


……今日は笑顔をずっと貼り付けていられる自信がない。


もう一度盛大にため息を吐き出し、それを見送っていると、

 ぽんっ

後ろから肩を叩かれた。


振り返り、相手を見たあたしは───固まってしまった。


「………郁生くん」


制服姿の郁生くんが、あたしの前に立っていた。