母親が手をヒラヒラさせて出ていった後────
「………寝る、ね」
現実に引き戻され居たたまれない空気に、あたしも自分の部屋に戻ろうと立ち上り………
「………っ……」
まだ鈍い痛みのする頭がくらり、揺れて、思わずよろけた。
そんなあたしを、
「───大丈夫!?」
受け止めてくれた郁生くんに、
「……やっぱり、人を殺してた……大切な二人……紅い夢は……記憶……」
「────……」
「それで……その後、私は……」
黒い影───あの人に………
「思い出したくなかった……な……」
「………ごめん」
あたしの一人言のような呟きに、郁生くんが何故か謝って。
「……だから───なんで、郁生くんはいつも謝るの?」

