「また、知らんぷりして……」
仕方がないと分かっているけど、半ベソに上目遣いでジトッと睨むと、
「トーコさん、今は……弱ってるから、だよ……」
そんな子どもっぽいあたしの反応に、郁生くんは、さらに困ったように目を逸らして、立ち上がった。
「怖い夢も、体調も……
事情を他の人には話せなくって───共有できるのは俺だけだから、何となく頼りたくなるだけでさ……
でも───」
そこまで話して、“うっかり口に出てしまった”と言わんばかりに、はっと口を噤んだ郁生くんの微妙な仕草を、あたしは見逃さなかった。
「でも、なに?」
「その……」
気を落ち着かせようとしてるのか、場を取り繕おうとしているのか、
デスクの上に出ていたシャーペンやら消しゴムやらをペンケースにしまった郁生くんは……
やがて、観念したようにベッドの上に座り、こちらに向き直った。

