バスは15分ほど走り、坂道の多い小高い閑静な住宅街へ向かった。
そこで降り立ったあたし達は、他愛もないことを話しながら歩き、
送電線の下に長く連なる緑道公園の手前の道を曲がった。
そこから、2区画くらい坂を下ると、
やがて、可愛らしい煉瓦造りの、大きな庭の一軒家が見えてきた。
「ここ……?」
「そ」
「か……可愛い…」
「……地元の名士なんだと」
「えっと……ご主人、が?」
「いや、本人の親が。 同居だってさ。
───まぁいいや、行くぞ」
雄仁は、家の門をスルーして、別の方向へ歩いていく。
「え……ど、どこ行くの?」
「散歩に出てるってから、待ち合わせはあっちの公園ー」
振り返りながら、雄仁が手招きする。
あたしは、慌てて後を追った。

