「トーコさん……なんの話か、よく分からないよ……」
そう言って、……郁生くんは体勢を戻し、フロントガラスに目をやった。
分からない……て
「なんで……?」
「…………」
「あたし、間違ってないよね?
───あなたは、“真”……」
「………違う、俺は!」
あたしの話を制するように、郁生くんがまた声を荒げた。
「俺は────安西郁生……だよ」
「…………」
もう一度……あたしの方を振り返った郁生くんが、微かに笑う。
「トーコさん……真鍋柊子の、“甥っ子”……でしょ…?」
穏やかな声で───でも、区切るようにはっきりと、
あたしの瞳を見つめて、彼が言う。
…………どうして……?
真っ向から否定されたことで、
それ以上何も言えなくなり、あたしは俯くしかなかった。

