「あれは、なに?
郁生くんだって、あたしに隠し事してるじゃない!
───『辛い思いさせてごめん』って、喋れなくなる方が辛いのに!」
「───……」
「バイトだって、ケータイだって、あたし何も知らなかった。
……バイトはね、郁生くんの彼女が教えてくれたの。
駅で偶然会っちゃった」
……感情的に喋るあたしには、無言の郁生くんの表情は分からない。
あたしは段々滲んでくる涙に気付かず、続けた。
「……瑤子ちゃんとケンカなんかしない。
瑤子ちゃんは、……あたしを心配してくれたの。
あたしの───……」
言いかけて……はっと我に返る。
「あたしの───なに……?」
その言葉に、カッときて、
────あたしは、たまらず郁生くんの手を振り払おうとした。

