「……なんで、『なんで?』って聞くの?」
「なんでって……トーコさんが、逃げるから」
「逃げてないって」
「……じゃあ、止まってよ」
「ヤダ」
海岸線を追いかけっこする形で、足早に歩きながら、
そんな不毛な押し問答が続いていた。
「………郁生くんばっかり、ズルイ」
「なにが?」
「あたしも質問する。
───最近ずっと喋ってくれなかったよね。……なんで?」
「それは………答えない」
「ほら、ズルイじゃん」
その瞬間───このピリピリする空気を逆なでるような、ケータイの着信音。
誰っ!? このタイミングで!!
あたしは歩みを止めず、ケータイを取り出し、
……直後、ドカン!と噴火した。
───ほんと、どーなってんの、この人!?

