泣いたのに、気づかれていたことも……
今、あたしの頬を覆う手の平にも……
そして、あたしを心配そうに見つめる、
郁生くんの優しい瞳にも……。
「気づいたのは……昨日だけど……わざわざ聞くのも……。
ちょっとでも、元気になれば、と思って………海……
────………て…」
郁生くんが、あたしの変化に気づいたのか、
話をやめて、じ……と、あたしを見つめた。
そのまま、無言でもう一方の手が伸びてきて、
────あたしの頬を、両方の手が挟んだ。
「!!!」
これは────ヤバイ!!
………あたしは、ガバッ!と派手な擬音語をしょいつつ、
脱兎の如く郁生くんに背を向けると、
海岸線を足早に歩き始めた…………。

