「じゃあ、またね! 行ってきます」


……… 一人暮らしを始めて、何年も経つけど、

瑤子ちゃんは必ず「行ってきます」と言う。


そんなさりげなさも、あたしが瑤子ちゃんを尊敬する一つ………




久し振りに瑤子ちゃんを乗せるとなると、いささか緊張する。


「まだまだ時間あるし、のんびりでいいよ」


シートベルトを締めながら、瑤子ちゃんが笑った。


「はーい……じゃあ、忘れ物なぁい?」


「うん」


あたしはヘッドライトを点けると、

フットブレーキを踏んで、車を発進させた。