逢いたい~桜に還る想い~


父親に不自然に手を振りつつ、


───その勢いで郁生くんの部屋のドアをノックした。



……が、返事がない。


あ、あれ?

もっかい………



 コンコンッ



────……


ね……寝てる…の、かな…?



遠慮がちに、そーっ…とドアを開けると、


───ベッドの上で、郁生くんがスースー眠っていた。



「……電気、つけっぱで……」


あたしは部屋の電気を消すと、

机の上のスタンドの明かりだけにし、コンポの音量をしぼった。



机の上には、英語の教科書とノートが広げられている。


予習しているうちに、眠くなっちゃったのかな……。



郁生くんの通う高校は、県内でも有数の進学校で、

特に英語の授業は厳しいと評判。




ラックに掛けてあったブレザーの上着を、そーっと取って………、

ふと、郁生くんの方を振り返る。