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さすがに、もうまずい……
と、ポケットに入れた金色のボタンに急かされて、
郁生くんの部屋の前───10時半過ぎのこと。
大きく息を吸って、
……ドアをノックしようとして、
……手を止めて、
……はーっ…と息をついて。
そんなループにはまっていると───
「柊子? どうした?」
突然背後から声を掛けられて、
……あたしの背中が「ヒエッ!」と縮こまった。
「お…おとーさん…かー……びっくりしたぁ」
「なんだ、オバケにでも遭ったような顔するな」
「やー……油断してたからー……」
「なんだ、廊下ウロウロして」
「あー……郁生くんに用事……お父さんは??」
「今から風呂」
「あー、そう。ごゆっくりー!」

