「女の人の髪の毛、切る訳ないでしょ」
あたしは、ボタンの取れてしまったブレザーを見つめて焦った。
「ボタンなくて大丈夫? ……ソーイング、研究室に置いてきちゃってる……」
「大丈夫っしょ。じゃあ───はい」
あたしの手の中に………金のボタン。
「家帰ったら、よろしく」
「う…うん! ……あ、でも…」
「ん?」
「今日、バイトある……そんなに早くないよ…?」
郁生くんの後ろをちょこちょこついて行きながら、駅の階段を上る。
「なに? また、不良娘?」
「………今日は用事ありませんー。真っ直ぐ帰ってきますー」
ぷーっ…とほっぺを膨らませたあたしを見て、
郁生くんが愉快そうに笑う。
「急に予定変更の電話かけてこないでね」
…………もーっ……

