───次の駅に止まり、
人の流れで出来た隙間に、あたしは引き寄せられた。
「大丈夫?
離れちゃうと髪痛いだろうから、もうちょっと我慢して」
あたしの耳元で、郁生くんがそう小声で囁く。
そっち側の耳が、かぁっ…と熱くなるのを感じて、
『赤くなりもしねーじゃん?』
こんな時に……雄仁の言葉を思い出した。
『顔に出やすいよなぁ』
………うるさい、雄仁。
距離を保ってフツーに会話は出来ても、
これは不可抗力…………
ラッシュの電車の中、誤魔化すための会話も出来ず───
乗り換えの駅に早く着くことを願うばかりだった………

