ライバルとの試合が始まって3日後、無事退院した。

吐血までしたのにもう退院していいのか?

と、小2の私には退院が不安に思えた。

でも、また1週間後には診察に行かなければいけなかった。

退院の日はパパが迎えに来てくれた。

ママはつきっきりで看病してくれたので疲れ切っていた。

3日ぶりの外。

「さーーーーーーーーーーっぶっーーー!」

あまりの寒さに大声をあげてしまった。

「ふうちゃん久々の外やけんねーww」

ママは笑いながらいった。

…………………。


それから1週間がたち、私は学校にも復帰しとっくにいつもの生活取り戻していた。

でも今日は、またあの場所に行かなければならない。

「いきたくなーいー!」

私は起きてからずっとこの言葉を連呼していた。

そして車に乗ってからも…

「いーきーたーくーなーい!いきたくない!いきたくない!いきたくない!いきたくない!」

「ふうちゃん!いいかげん黙んなさい!」

ママは呆れた声で私にいった。

「コンビニで本買ってあげるから!なっ!」

物で操ろうとするパパ。

コンビニにより当時、ふろく目当てで買っていた「ちゃお」を買ってもらった。

集中して読んでいたがそんな物で納まるわけがなく…

「ままー」

「んー?なんか面白い漫画でもあった?」

「………いきたくない…」

おさまったのは声のボリュームだけだった。

「はぁー。」

両親はため息をつき、後はシカトされた。

何度言ったか分からないほどの「行きたくない。」を連呼しているうちに病院に近ずいていた。

目の前の信号を曲がればあの場所…

考えるだけで嫌だった。

車から降りてずっと、その日はママの後ろにべったりくっついていた。

すべての検査を泣きながらなんとかこなし、診察。

そこでこんなことを言われるなんて思いもしなかった。

名前が呼ばれて診察室に入り、重い足取りでドクターの前の椅子に座った。

まず言われたのが…

「風香ちゃん検査よく頑張ったねー!」

うん!頑張ったよ!頑張りましたとも!

MRIに?CTに?採血に?レントゲンに?内視鏡に?

今思えば小2の小さな体でよく耐えたなと思う。

そんな事はつかのま。

私のライバルの名前を知った。

………………………


「たいへん申し上げにくいのですが…」

小2のうちにだってわかった。

「危険な状態です。」





危険



って



言葉に。

大きな意味があった事………。