季節は冬。道端に咲く花には霜が降りていた。

「だるまさんがこーろんだっ!」

「あっふうちゃんうごいたー!」

「もーっっっ!愛奈(あいな)厳しいーー!」

 だるまさんがころんだ なんてしながら帰る私は当時小学2年。

いつものように好きな服をきて。

ばあちゃんに買ってもらったワインレッドの大人っぽいランドセルを背中に背負い。

いつもどうり来た道を戻り下校していた。

コーディネートが決まった日には酔っぱらったように機嫌がよかった。

でも、この日だけは気があがらなかった。

なんとなく気分が悪かった。

最初は妹の風邪でもうつったかなと思っていた。

この日は学校から近いばあちゃん家に帰る日だった。

「じゃあね!ふうちゃーん!まった明日!」

「うん!まった明日!ww」

いつものように笑いながら挨拶をかわし別れた。

駐車場の坂をのぼり、綺麗な花が元気に笑う花壇を添うように渡れば玄関。

「ただいまー!」

「はいっ!おかえりーふうちゃーん!」

いつものように笑ってハグをしてくれたじいちゃん。

「ねぇたん!お帰りー!」

嘔吐下痢で欠席していた妹 奈々(なな)。

ずば抜けて頭のいいちょっとくるったハイテンションsister。

次にばぁちゃん。まま。と挨拶をかわした。

「はぁ。」

やっぱおかしい。奈々にうつされたー。

ソファーに座っているじいちゃんを膝枕にし横になった。

その瞬間。

「ぉえっっっ…ぅ…ぅ」

あーやっぱし。

うつってた。

もー最悪。

なんて思っていた。

でも…

ただの嘔吐じゃなかった。

「あっ…あ赤い…」



吐血





なにかおかしい…

うち…うち…


そのまま意識をうしないここからはあまりおぼえていません。

ただ聞きなれた声が深海に沈んでいくように意識がなくなる私を呼びつずけていた事だけは幽かにおぼえている。

きずけばフワフワ浮かんでいるかのように意識をなくした。