「じゃあ、解散!」
部活が終わった。
「慧。」
愛さんが言った。
「?」
「その…昨日はごめん!」
円ちゃんと先生はもう帰っていたので、戸惑う人はこの場にはいなかった。
「な、何だよ急に…。」
「慧は勝てる自信があったんだよね。なのに私、何にも考えてなくて…。本当にごめん!」
「愛…。」
慧さんがポケットから「ハンカチ」という小さめのタオルを出し、愛さんに向かって軽く投げた。
「目の前で泣かれると弱いの、お前なら知ってるだろ?ほら、涙拭けよ。」