「何で…知ってるの…?」
愛さんとの帰り道。私は愛さんに聞いてみた。
「知ってるって?」
「慧さんの家。」
「昔からの友達だからね。慧の事なら、いろいろ知ってるから。いい所も、悪い所も…。」
愛さんが悲しげな表情に変わった。
「悪い…所?」
「さっき言った『アリ地獄』よ。…今は本人もいないし、言っちゃって…いいよね。」
この後知る事になる事実を、私は知る由もなかった。