家を出ると、昨日乗ったあの長い車があった。どうやら、慧さんの率いる「大江グループ」なる組織では、これに乗って移動するのが普通らしい。
慧さんが車の近くまで行くと、車のドアが勝手に開いた。
「奥、行けば?」
私は慧さんにうながされ、車の奥の方に座った。そして、私の隣に慧さんが座ると、ドアが閉まった。
「あ、そう言えばまだ朝飯食ってなかったな…。志井、朝飯あるか?」
「はい、ここに。召し上がられますか?」
「ああ。優の分も頼む。」