そう。私達が会ったこの男性は、愛さんのお父さんの、有日淮さんだったのだ。死んだはずなのにここにいる理由は…前述の通りだ。
「愛!」
愛さんのところに着いた慧さんが、愛さんを抱きしめた。
「ちょ、ちょっとやめてよ、慧。恥ずかしいじゃん、お父さんの見てる前で。」
「べ、別に!俺が好きなのは優だからな!」
さらっと言ったそのセリフが、私の心に響いた。…響くという事は、私も好きなんだろうか…?
「へえ、大江君は飯尾さんが好きなんだ…。これは好都合だね。」
「え?」
「好都合だよ、君達の関係が明らかになったし、何より…君達を同時に潰せるんだから。」