私は、しばらくここから動けずにいた。
私の心は、かつてないほど困惑していた。
心に穴が空いた感じがした。何なのだろう、この喪失感は。この大切なものを失ったような感覚は、どこから湧き出るのだろう。
私の頬を流れる涙が、溶けかけたDQ-Tの鉄の体に落ち、音を立てる。
「…解体しないと…。」
私は再び矢をセットした。今度はただの矢ではなく、対象が活動を停止していないと使用できない「解体矢」と呼ばれる矢だ。
「…色々教えてくれて、ありがとう…。」
放たれた私の矢がDQ-Tに命中すると、DQ-Tの体はあっという間に原子レベルにまで分解されていた。