「優。」
慧さんの声が、すぐ近くから聞こえた。
「ひゃっ…えっ、何?」
「今…何話してたんだ…?」
答える事なんて、できなかった。
「な、何でもないよ、慧さん。」
「何でもないわけねーだろ!」
慧さんが叱るように私に言った。
「何でもなかったら、別のアンドロイドに狙われるわけねーだろ!何があったんだよ!」
「…実は…。」
と言いかけて、慌てて口を閉じる。いくらなんでも、これを言ったら慧さんの人生を全否定する事になる。
いや、気づいているのだろうか。…だとしても、言えない。