会場は、何とも言えない緊張感に包まれていた。
照明はほぼ全部落とされ、誰も何も言わず、呼吸の音さえ聞こえるほどだった。
「あの…。」
隣にいる誰かが話しかけてきた。
「?」
「お互い頑張りましょうね。」
海星のメンバーの一人だったようだ。うっすらと見えるシルエットからは、小柄な女子の姿があった―その姿を、私は円ちゃんに重ねてしまった―。
「…こちらこそ。」
私は自然に答えていた。