慧さんは、私の事を見つめていた。この部屋という暗闇の中でも、私を見ているという事だけは分かった。
「ん?俺の顔に何かついてるか?」
私も慧さんを見つめてしまっていた。私はこの時から、いや、もう少し前からかもしれないが、慧さんに対するある感情を抱いていた。それがどんなものだったのかは、この時の私には分からなかった。
「…教えて?」
私が言うと、慧さんはため息を一つ。そして、言ったのだった。
「俺は…。」