そんな時だった。


「お前ら…」


そう言ってあの男があたし達の元へと近づいてきた。


あたしの体はそう簡単に恐怖から消えてくれることもなく段々と大きく震え出していた。


そんなあたしを支えるように抱きしめてくれる慶


でも、そんな簡単には恐怖心は収まらなかった。


あの男は聖奏を見るなり怒鳴った。


「やっぱり裏切ったのか!この裏切り者!!」


そう言ってあの男は懐から何かを取り出した。


そうチャカ…


拳銃だった。


向けられたのは紛れもなく聖奏。


そして引かれた引き金。


あたしは咄嗟にその弾に自らを撃ち抜かすように飛びついた。


「柚那!」


当たったのは右腕。


貫通までしている。


「大丈夫か?」


心配そうにみんなが駆け寄る中あの男だけは白い顔をしていた。