私立青葉学園。そこは学生主体の自由な学校。敷地も広く立派な校舎と寮がある。
ただし、学力は必要とされる。地元では1.2を争うほどの学校だ。
それゆえ入学はもちろん、進級するのも難しい。留年など当たり前のようにする。
しかし、魅力は多い。受験時の倍率は一般の高校ではかんがえられないほど。
そんな青葉学園に武内優は合格した。幼馴染兼親友の豊田麻里も一緒に。
「ゆーうっ、何組だった?」
麻里が後ろから抱き付いてくる。自分より頭一つ小さい麻里は見上げるように上目づかいでいつもこちらを見てくる。ふわふわとした自分にはない可愛らしさが時に羨ましくなったりする。
「3組、麻里は?」
「1組~違うとか最悪~」
「まぁまぁ、学校同じなんだからいいじゃん?あたし奇跡的にここ合格したんだからさ」
麻里の頭をわしゃわしゃと撫でる。セットが崩れちゃうなんて麻里が笑う。
急に周りがさわがしくなった。
「そろそろ式はじまるから新入生は第一体育館集合!」
「こっち、こっち~はぐれないでね~」
青葉学園生徒会会長、副会長だ。
漫画みたいにイケメン揃い。この法則はなんなんだろう。
混雑を避けようと後ろのほうを歩くと後ろから3人組の男に声をかけられた
「わ、君たち可愛いね~何組なの?」
おそらく同じ新入生だろう。正直うざい。
「あたしが3組、こっちの子が1組」
そう答え足早に列に紛れようとする。
「あ、俺も3組仲よくしよーよ」その中の一人が同じクラスらしい。正直仲良くなれる気がしない。質問攻めにあい仕方なく歩くペースを緩め話しながら歩いた。
めんどくさいな。1人だったら無視できるけど麻里のイメージ下げたくないし、仕方ないか
「はいはい、おしゃべりはそこまで~遅れちゃうぞ~?」
さっきの生徒会長だ。いつの間に後ろに来たんだ
「あ、すみませんっ」男子達が足早に去っていく。
「ほら、行こう?あ、可愛いね二人とも。今度お茶でもいこーよ。俺生徒会長の神西…」
そう名乗った生徒会長はぺらぺらと話を続ける。うざい。遅れるんじゃないのか。
「あ、ほら駅前にできた新しい店知ってる?…」
そのとき優のなかで何かが切れた
「うるさいです、あなたとなんて出かけません。あと、遅れてしまうので早く行きたいんですが。」
冷たく言い放つ。行こ、麻里と呟いてスタスタ進む。
「…どーしよ、あの子気に入っちゃった」
その二人の後ろでは神西がどこか悔しそうに、そして嬉しそうに笑っていた。