始まりは恋の後始末 ~君が好きだから嘘をつく side story~

それからも日々何度となく同じ光景目にすると、私の胸のモヤモヤは少しずつ少し膨らんでいった。

女の子達の顔はあんなに華やいでいるのに、私の顔はお面付けているように無の表情を崩さない。

誰にも言えない付き合いを長年していた私の身体に染み込んでしまったこの癖は、今更変えることはできないのかな。

嬉しそうに笑顔を彼に向ける女の子を羨ましくも思ってしまう。

自分の気持ちに忠実で、素直に伝えることができる。

私はそういう部分が欠けている。



大丈夫・何でもない・全然平気



そんなものなら簡単に表せるのに。

それだけじゃ本当の気持ちは伝わらない。

自分が苦しくなっていくだけ。

そう分かっているのに・・・やっぱり難しいな。



そして今日は早めに外回りから帰って来られたので、休憩スペースへ寄っていくことにした。

自動販売機でコーラを買って、奥の席へ座った。

スマートフォンをバッグから取り出してメッセージのチェックをしながら今買ったコーラを飲む。

強い炭酸が心地よく喉を通っていく。

フゥ~とため息をつきながら、また視線をスマートフォンに戻す。



「あ・・」



澤田くんからメッセージが来ていた。

見てみると夕ご飯のお誘い。早めに戻るから待っていて欲しいと。

『待っていて』かぁ。何だか付き合っているっぽい言い方だなと感じると、急に頬が熱くなってきてしまった。

彼氏を待つってこんな感じ・・・。当たり前のような待ち合わせ。

それだけで心がポワポワと温かくなっていくなんて、私も本当に単純だな。

フフッと笑いながら『了解!』と返信する。