始まりは恋の後始末 ~君が好きだから嘘をつく side story~

「別に同僚としてだけで、それ以上の感情はないですよ」

「マジか・・。隼人どんだけ理想が高いんだよ?」

山中くんが呆れて言って見せた。
それにしても本当にハッキリ言うなぁ。
さっきの女の子達、今の言葉を聞いたら泣くよ?
男子社員達がホイホイ寄っていく程可愛いのになぁ。
オシャレ大好きって満ち溢れているし、笑顔可愛いし、女子力かなり高いのだろう。
澤田くんだって可愛いって思っているはずだよ。そう、思わないはずがないよね。
誰だって可愛い方がいい。可愛げがあるほうがいい。そうでしょう?
そんな風に心の中で愚痴を言っていると、彼が山中くんに切り返した。

「僕の理想を知りたい?」

「え!知りたい!ね、今井さん」

山中くんの勢いに、私は戸惑う。
もうどう答えたらいいの?

「・・え?・・そうね、うん」

そう言いながら彼を睨む。
変なこと言わないでよと眼力で伝える。
そんな私の表情を見てなのか、彼はクスッと笑ってから答えた。

「秘密」

「何だよそれ!」

呆れ崩れる山中くんに「じゃあ、知りたかったら後で教えるよ」とかわして座席へ座ってしまった。
それを私と山中くんはボーっと眺めた。
彼らしいというか、何というか。彼は人を交わすのが上手い。
それが嫌味にならないから憎たらしい。
でもそこも魅力になってみんなを引き寄せるのだろうな。。
モヤモヤする気持ちはまだ残るけど、山中くんも席に着いたので私もパソコンへと向きなおしてメールチェックの続きをした。