始まりは恋の後始末 ~君が好きだから嘘をつく side story~

「何~早速一緒に来たの?待ち合わせしたって聞こえたんだけど」

さっき楓からメッセージで聞いていたけど、山中くんをからかいたくてつい聞いてしまう。

「そう、駅で待ち合わせして来たんです。ここで待ち合わせでよかったんですけどね」

「山中くんが迎えに行くって言ったんでしょ~。さっさと帰り支度して、帰って行く姿見たんですけど~」

山中くんを見ながらからかうと、彼はばつの悪そうな顔をして言葉にできずにいる。
それがたまらなく面白い。かわいいなぁ。

「迎えに行っちゃうとか、もう楓に甘々ね。そっか、山中くんってそういうタイプだったのね」

わざとうなづきながら納得して見せる。確かに今の彼は楓にとても甘々だ。

「勘弁してください」と言いながら、楓には椅子を引いてあげ、席に座るように示した。
そして私の前に楓が座り、その隣に山中くんが座った。
そして楓と私が近況を雑談していると、おばちゃんがおしぼりを2人に渡してくれた。

「はい、おつかれさま。隼人くんが来る前に始めるかい?」

おばちゃんが気を使って聞いてくれると、山中くんが私に視線を寄こして聞いてきた。

「あれ?隼人はもう戻ってました?」

「えっ・・あ、ううん。少し遅れるって連絡あった・・」

澤田くんの名前が出ると焦って、ついどもってしまう。
でも山中くんは気にした様子もなく私の言葉を聞くと、うんうんと頷き、おばちゃんへとまた視線を戻した。