「あと、澤田も来るんで」

その一言にフリーズした。

「今井さん?」

あれ?と確認するように「ダメですか?」と重ねて聞いてくる。
やばい、澤田くんが来ることは予想していなかった。
確かに彼は2人の同期だし、誘われるのは当たり前か。
慌てて「大丈夫!大丈夫」と返すと、「じゃあ、美好で」とニッコリ笑顔を見せてから行ってしまった。

「マジで?」

ついつい独り言が出てしまう。
ちょっと聞いてないよ!そう、聞いてない。
澤田くん!いつ決めたのよ。
目を光らせて営業部を見渡すと、コピー機の前にいる姿を見つけた。
あ・・こっちを見ている。私を見て、クスッと笑った!
今山中くんと話していたのを見ていたな。
そして私の様子を見て笑ったな!
ムカッっときて、カツカツとヒールを鳴らしながら急ぎ足で彼の元まで行き、「ちょっと聞いていないんだけど!」と睨みを聞かせて小声で言うと、全く反省などなくあの澤田スマイルを見せ、これまたささやくように「ごめん」と言った。
そこへ部長の「澤田~」というのんきな呼び声が入り、彼は「後で」と私に残して部長のデスクへと行ってしまった。