始まりは恋の後始末 ~君が好きだから嘘をつく side story~

眠りから覚めて心地良い温もりにまた目が閉じそうになる。

いつもなら枕を少し抱えるように右頬をつけて寝ているけれど、今日は違う。
厚くはないけど程よく引き締まった胸板が私の頭を支えている。


あの時のように・・・


そう、あの朝と同じように澤田くんは優しい力で私の身体を包んで寝ている。
そっと見上げれば、あまりにも綺麗な寝顔につい見とれてしまう。
そしてお互い衣類をまとっていない。触れる肌の感触がやっぱり気持良くて、更に顔を彼の胸に寄せてしまう。

もう少しこのままでいてもいいかな・・・
彼の肌を感じながら、瞳を閉じる。


何かまだ実感がないなぁ。澤田くんと私が・・付き合う?


いいのかなぁ・・本当に。
ついつい考え込んでしまい、頭をフルフルと揺らしていた為に彼を起こしてしまった。

「・・う・ん」

低くかすれた声に焦ってしまう。

「あっ、ごめんね」

見上げながら顔を覗き込むと、眠りから覚めた彼が私の顔を確認すると微笑み腰を抱いてきた。
より密着して前髪越しにキスを落としてくる。
寝起きで髪の毛だって少し乱れているのに・・悔しい位にいい男だよ・・。
何だかたまらない気持ちになって毛布を引き上げて顔を隠すと、それを剥がそうと引っ張られた。