始まりは恋の後始末 ~君が好きだから嘘をつく side story~

「どうしたいって・・どうしたらいいのか自分でもよく分からない」

「馬鹿ね」

呆れる様にハッキリ言う彼女はチーズを口にしながら笑みを浮かべた。

「好きになっちゃったんでしょ、その後輩くんを」

「う~ん・・たぶん」

まるで渋るかのようについ答えを濁してしまう。

「何がたぶんよ。認めなさい、咲季の顔見ればそんなの分かるんだから」

「・・・う~ん」

きっぱりと沙耶に言い切られても、煮えきれない答えを口にしてしまう。そんな私に呆れた顔して沙耶は視線を流してくる。

「何で?好きになったらダメな人?・・またそういう奴?」

「違う」

また不倫か?って一瞬目を細めた沙耶に即答する。

「ふ~ん、じゃあ彼女持ち?」

「ううん、いない」

その答えに沙耶は少し首を傾げて眉間にしわを寄せた。

「なら何なのよ?」

「・・何となく」

「あほか」

「そう、あほなの」

自分で答えながら情けなくなってしまう。
そんな私を見て沙耶は、飲むのも食べるのも止めて真剣に聞く態勢になって私を見た。それに答えようと私も一度深呼吸をする。