言いたくても言えなかった。もしお母さんに告げ口したことがバレたら、もっと恐いことをされるって本能で分かっていたから。
でも、もしもあの時お母さんにちゃんと言って助けを求めていたら、あんな最悪な結末は免れてたのかな。
『本日午後二時頃、千葉県市原市のアパート二階に住んでいた義理の父親の忍足学(オシタリマナブ)容疑者三十四歳が、六才の娘に対する暴行容疑で逮捕されました。供述によりますと、忍足容疑者は以前から娘の凜ちゃんの顔や腹などを殴る蹴るなどを繰り返していたとのことで―――…』
私は死の淵を彷徨い、三日間意識不明の重体だった。目が覚めた時は病院のベッドの上で、だけど隣にお母さんの姿はなかった。
後に看護婦さんから告げられたのは、お母さんは精神的な病で隔離病棟に入れられてるんだってこと。
引き取り手の無い私は、必然的に施設での生活を強いられることになってしまった。
『凜ちゃん、あなたは今日からここで暮らすの。皆と仲良くしなくちゃ駄目よ?』
¨仲良く¨しようと頑張って努力したけど、無理だった。
