すると、彼女は驚いた顔で私を見て来た。 「初めて…初めて私の名前を呼んでくれたわ」 「あれ…そうだったっけ?」 「そうよ!…嬉しい…凜、助けてくれてありがとう…」 お礼が欲しくて助けた訳じゃない。 ただ、樹里ちゃんが無事で本当に良かった。 私がこんなにも誰か大切に思える日が来るなんて――… 「ありがとう…ありがとう…」 お礼を言いたいのは、私の方だよ。 ありがとう、樹里。 ・つづく・