「ねぇ!プリクラ撮りましょうよ!」
「プリクラ…って、どう見てもそれ証明写真の機械…」
私は本屋の前に設置されている証明写真を撮る機械の中に連れ込まれ、半ば強引に2ショット写真を撮らされた。
「ホラ!一足す一は?」
「に…」
ぶきっちょに口角を吊り上げた私と、綺麗に笑った樹里の写真。
それを半分に切り分け、彼女はペタリと携帯電話に貼り付けた。
「フフッ。いい感じで撮れたわね!私、こう言うのにずっと憧れていたの」
「…え?」
「今まで友達なんて、いなかったから」
彼女は綺麗。
彼女は優しい。
彼女は明るい。
彼女はよく笑う。
私とは全く正反対の人間なのに、友達がいなかった。
どうして?
貴女みたいな素敵な人ならきっと皆、友達になりたいって思う筈なのに。
「大変、もうこんな時間!そろそろ帰らないと」
「門限?」
「…。そうなの」
商店街の時計は丁度六時を指していて、スピーカーからは電子音のメロディが流れている。
夏は日が長いから時間の流れが分からなかったけど、樹里と遊びに来てから既に六時間も経っていた。
楽しい時と言うのは、あっという間に過ぎるものだ。
