樹里は待ち合わせ時間に遅れること無く、十二時丁度に校門の前にやって来た。
服装はピンクのワンピース。お洒落な麦藁帽子からは色素の薄い茶色の髪の毛がフワフワと垂れていて、靴は踵が低くて歩きやすそうなミュールを履いている。
私服もやっぱり垢抜けた感じで、この田舎の景色から浮いているように思えた。
「おはよ、凜ちゃん。待った?」
「うんん。時間ぴったり」
それから私たちは、学校から暫く歩いた場所にある駅前の喫茶店で軽く昼食を食べることになった。
話題と言えば他愛も無いものばかりで、好きな本やテレビ、いつも家で何をしているかなどをダラダラと語り合った。
「え…?東京に住んでたの?」
「そう。親の仕事の都合で、四年前に東京の船橋からここに引っ越して来たのよ。東京生まれの東京育ち。喋り方に癖がないでしょ?」
テーブルの上に頬杖をつきながら、ニコリと微笑む樹里。
その唇は適度に塗られたグロスでキラキラと光っていて、指先の爪までピカピカで綺麗に手入れされている。
まるで、ショーケースに飾られているお人形さんのようだ。
