その言葉をずっと望んでいた。そう思ってた。

でも、未紀への気持ちを消し去るほど俺は何かに夢中になっている。

何かじゃなくて、誰か…。

「だまってないで何か言ってよ!」

「ごめん、帰ってくれないか?」

予想外の返事に驚いた様子だ。

「なにそれ…もう私には興味ないってこと?」

「…………」

「どうして?好きな人でもいるの?」

泣きそうになる未紀に俺は言った。

「俺たちはもう、別れただろ。ほっとけよ」

そういってドアを閉めた。

別に、未紀のことを嫌いになった訳じゃない。

ただ昔のような関係に今は戻れる自信がない。

それに、俺がいつも仕事を優先するからってフッたのに、なんでまたよりを戻そうとするかがわからない。

でも、そんなことよりも気になっているのは、俺の気になるやつ。

俺の失恋をあっさり忘れさせる相手って一体誰なんだ?