「ごめん未紀。生徒が熱だしちゃってさ、今日行けなくなった」

「いつもじゃん??純平。でも、まさか、今日ドタキャンするとは思わなかった」

今日は記念日だ。何より楽しみにしているのはわかっていた。

「ドタキャンするのはごめん。でも、しょうがないだろ??」

「しょうがない?なんで、今日なの?他に頼むことはできないの?いつもなら許してたけど、今日だけは私を優先してくれると思ってた」

「…ごめん…。でも仕事なんだよ…お前も先生ならわかるだろ?」

「………」

未紀は黙りこんだ。

しばらくすると、

「私は、純平が大切だった。純平のことなら何よりも優先してた。でも、純平は違う。私は、純平にとって一番になれないの!!……」

「…未紀…」

「純平…別れよう?もう、こんなのつらいよ。純平は優しすぎるんだよ!もう苦しいよ…」

どう返事しればいいかわからなかった。俺は、こいつにひどいことをした。

なのに、こいつは俺を優しいといっている。

「…わかった。ごめん…」

「………」

未紀は電話を切った。