萩野先輩と同じ、高校3年生だ。
私から見ても、本当にいい人。
透明感に満ちた容姿を裏切らない、心優しいこの人がどうしてこんな性悪イトコなんかを彼氏にしているのか、意味が分からないくらい。
萩野先輩なんかに雫先輩はもったいないって、本気で思うよ。
「葉純ちゃん、い、今、見てた……?」
恥ずかしそうに上目づかいで私を見るその仕草に、同じ女の私ですら胸キュンだ。
こんなふうに訊かれたら、とてもじゃないけど嘘なんかつけない。
「……す、すいません。わざとじゃないんですけど……っ!」
どう考えても場所が悪いと思うのだけど、雫先輩を悲しませるものは全部悪だ。
そうだ、こんなタイミングで現れた私が悪いんだよね、うん。
見てしまったことを正直に告げると、すでに恥ずかしそうにしていた雫先輩は、恥ずかしさが限界に達したのか、きゃああ、と再び可愛らしく悲鳴を上げた。
「雫、気にしすぎだろ」
呆れたように言う萩野先輩に、雫先輩はぶんぶんと首を振った。


