恋の糸がほどける前に


図書室の机は大体ひとりがけで、それぞれしきりとライトがついている。

だけど、今日は私も少し出遅れてしまって、向かい合ってふたりが座れる席で教科書を広げていた。

テスト期間以外はここは読書専用席で、勉強禁止になっているような席だ。

知らない人だと相席もあまりしたがらないので、大体はふたりがけをひとりで占領してしまうような申し訳ない使い方になってしまう。

いつもは芽美と一緒に来るから、この席しか残っていなくてもふたりで使えるのだけど、今日に限って芽美は自習室の方に行ってしまったから、ひとりきりだったんだ。


「あ、うん。ごめんね、今寄せるね」

散らかしていた勉強道具を、慌てて自分の方に寄せる。

すると、「ありがとう」というひそひそ声に続いて、水原が正面に座った気配がした。


……話したの、クリスマスのとき以来だ。

ふとそんなことを思い、それが1か月以上も前のことなんだと思い至って、月日の早さを感じた。

告白すると決めてから、こんなに時間が経ってたんだね。


なんとなしに顔を上げると、すでに水原は自分の勉強に入っていた。

英語の勉強らしく、頻繁に電子辞書に手がいく。


お世辞にもきれいとは言えない、だけど不思議と読みやすい文字が、ノートの上に綴られていく。


「……なに?」