恋の糸がほどける前に



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年が明け、あっという間にセンター試験が終わり。

けれど今度は二次試験に向けて、学校全体のピリピリした空気は和らぐことはない。

貴弘は年が明けるよりずっと前から早々に推薦で合格を決めていたらしく、2月に入り自由登校の期間になるとほとんど学校には来ず、引っ越しの準備に追われているようだった。

……貴弘は、結構頭が良いから。

大学は、家を出て東京の有名私大に行くらしい。

今までみたいに会いたいときに会える関係じゃなくなるんだなぁ、……って、まだ実感なんて全然わいてないんだけど。

でも、きっと少しずつこうやって変わっていくんだろう。

私と水原だって。

私と芽美だって。

いつまでも一緒にいられるわけじゃない。

貴弘や雫先輩みたいに、自分の道を決めなきゃいけない時がくる。

そう考えたら、まだ将来なんて決められないでいる私には、少しだけ胸が重くなる。


あと、2年経ったら。

私にも、胸を張って進める道が見えているのだろうか。