「どうしよう。私、てっきりふたりは付き合ってるんだと思って、亮馬くんにふたりがキスしてた、って言っちゃって……。きっと、だから亮馬くんは葉純ちゃんのこと諦めたんだと思う。どうしよう。私が葉純ちゃんと亮馬くんのこと邪魔してたんだ……!」


「いや、でもお前、葉純からも聞いてただろ?亮馬のこと好きだって。いくらキスしてたって、付き合ってるって考える前に少しは疑えよ」

「聞いてたけど、やっぱり貴弘くんを選んだんだと思ったの!だってキスしてたんだもん、そう思っちゃっても仕方ないでしょ!?」


そう言い返して、泣きそうな声でもう一度「どうしよう」と言うと、雫は俯いてしまった。


「……つか、どうしようも何も、亮馬は今はお前の彼氏だろ?今お前のことが好きならもうどうしようもねぇだろ。

それに、お前の言葉を信じたのも、葉純じゃなくお前を選んだのも、亮馬自身の選択なんだから」


「……きあってない」


「ん?」


俯いたまま、ぽつりと雫が言葉をこぼし、聞き取れなくて聞き返す。

すると、雫はゆっくりと顔を上げた。

やっぱり、泣きそうな顔をしていた。


「付き合ってないの。私と、亮馬くん」