恋の糸がほどける前に


*****


「……」


シャッ、シャッ、と軽やかな音を立てながら、目の前で答案に赤く丸がついていく。

なんていうか、自分の答案の採点を見てなくちゃいけないなんて、すごく緊張する。

調子よく丸がついていたのに、途中でピッと無機質な線が付き、あああ、と心の中での悲鳴と共に不安が募った。


今の、減点何回目?

まだセーフ?

それとも……。


「ん」


全ての問題を見終わって、間違えた数を数えていくよっしー。

とん、とん、と赤ペンの頭で机を打つ音が、やけに大きく聞こえた。

計算を終えたよっしーが、解答用紙に『75』と書いて。


「うん、合格」


にっこり笑顔と共に解答用紙を手渡されて、私は心の中で大きくガッツポーズをしたのだった。


────只今、数学の補習真っ最中。

確認テストは、問題を解き終わった人から教卓にいるよっしーのところに解答用紙を持っていき、採点してもらって70点を超えていたら合格。

超えていなかったら、延々再テストが続いていくんだ。