……そんなふうに思うのがただの思いこみだって、さっき思い知ったばかりなのに、懲りずに都合のいい解釈をしてしまう自分が情けない。

いつまでも一方通行な期待を捨てきれない自分に思わず苦笑した。


いい加減、目を覚まさないと。

このままじゃ本当に、マヌケな姿をさらしてしまうだけだ。


「いいよ。……訊きたいこともあったけど言いたいこともあったから、そっちだけにする」


差し出した、真っ赤なりんごあめ。

受け取った葉純の指と俺の指が微かに触れた。

拾おうと思わなきゃ拾えないくらいの、そんなかすかな温もりさえ、愛しい。


「言いたいこと、っていうか、報告かな」



いちばんに俺が隣にいてほしい人は、葉純だよ。

葉純の隣がほしかった。

その場所に当たり前にいられる理由が、欲しかった。

それは俺にとってのいちばんの幸せだから。



だけど、そろそろ認めなきゃなんないよな。