♯1


ザーザーと朝から降り続いているアスファルトを叩く強い雨は、夕方になっても未だその雨足を弱める気配はなかった。

湿気が肌にまとわりついて気持ちが悪い。


……6月って、本当に嫌。

祝日もないし。

髪は変な方向にうねっていくし。

テストもあるし。

雨ばっかり降るし。

いいことなんて一つもない。

勉強と部活に追われる毎日のモチベーションも上がらないってものだよ。


……なんて。

そんなふうに思っていたのは去年まで、だ。


今年の6月は、雨ばっかり降っていたって気にならない。

むしろ、天気なんてどうだっていい。

祝日がない?

上等。

毎日学校なんて、こんなに嬉しいことはない。

髪がうねっていたのだって、最近は背中の中頃まである髪を結いあげるくらいの時間はあるくらいに早起きしている。(……今までの私の朝に髪を結ぶ時間すらなかったことが情けない話なんだけど。)

テスト……、は嫌だけど。


嫌、だけど。


私がこんなふうにまるで6月大好きな人みたいに変わってしまったのは、他でもないテストのせい……、いや、テストのおかげ、だから何も言えない。


─────どうやら私、高校1年生にして、初めての恋をしてしまったようなのだ。