「……あー、ごめん。やっぱダメだわ。俺ちょっと飲み物買ってくる。葉純はここで待ってろ」
「え!?ちょ、水原!?」
止める暇もなく人混みに溶け込んでしまった水原の背中に呆然として立ちつくしてしまう。
……訊きたいこと、って、なに?
水原があんなに言いにくそうにするなんて、相当だよ。
何を言いたかったのか、全然わからない。
水原のこと、昔はあんなに理解していたはずだったのに。
何を思って、どう感じているのかも。
何を言おうとしているのかも。
思いあがりなんかじゃないと思えるくらい、分かったのに。
それなのに、今はどうしてこんなにも水原の心が見えないの?
今こそ、水原のことを理解したいのに。
考え出したらどんどん気持ちが沈んでいって、鼻の奥がツンと痛んだ。
……あー、もう。
どうして泣きそうになってるんだろう、私。
「……ひとりでなにしてんの?」
「え?」


