恋の糸がほどける前に





「あ!りんごあめ!!食べたい!」

「それはお前、からあげのあとだろ」


ふたりでからあげの屋台をさがして歩いていたら、途中でなんとも魅力的な、鮮やかな赤の食べ物を発見した私は思わず立ち止まった。


りんごもあんずも苺も、全部美味しそうだ。


「でもっ!いま目の前にあるのに我慢なんてでき」

「あれ、水原?」


できないよ、と言おうとしたんだけど。

ふいに割り込んできた低い声に私の言葉は遮られ、私と水原は声がした方に顔を向けた。


「おお!?女の子と一緒じゃん!もしかして、デート中だった!?」

「まじか。水原、彼女いないって言ってたの嘘だったのかよー」

「しかもすげー可愛……、って、三浦さん!?」


「「……」」


一気にぎゃあぎゃあと騒がれて、私と水原はその勢いに圧倒されてしまい、すぐには言葉が出て来なかった。